2011年ごろから、オバマケアの影響を受け、着実に成長していたヘルスケアスタートアップへの投資額ですが、トランプ大統領就任の2016年後半から投資の伸び悩みが見られました。Rock Healthによると、2016年年間のヘルスケア領域のスタートアップへの投資額は42億ドルと、2015年の46億ドルと比較し8%減少したといいます。
2017年はどうなるのでしょうか。ドナルド・トランプ氏が米国大統領に就任後、トランプケアを掲げたことで(結局否決はしたものの)、米国のヘルスケア関連のスタートアップにどのような影響が生じるか様々な憶測が業界を流れました。その一方で、2017年1-3月の投資額を例年の同時期と比較すると、政策の不安という状況がありながらも2016年を若干上回りました。
中でも、2017年の第一四半期の間に、最も大規模な調達をしたものとして、医療機関やヘルスプランに公衆衛生マネジメントのためのデータを販売するAlignment Healthcareが1億1500万ドル調達している他、患者向けのオンラインコミュニティPatients Like Meが1億ドルを調達しています。
トランプ大統領就任により、一層注目を集める『ウィメンズヘルス』
2012年のACAにより、保険で避妊がカバーされるようになり、加入者は無料で避妊サービスを利用することができるようになりました。しかしトランプ大統領は就任後、中絶反対を唱えたり、避妊費用を保険でカバーしないといった宣言を出したため、妊娠をしないようコントロールするニーズが高まっています。
このような方向転換に対する懸念から、Pill Club、Nurx、Mavenのようなオンデマンドの避妊薬デリバリーのスタートアップが注目を集めていると言います。
Pill Club
避妊薬のデリバリーサービス。なくなるタイミングで新たに自動的に届く仕組み。主要な医療保険の多くがカバーしており、多くのユーザーは無料で利用できる。500 Startupsのアクセラレーターに参加し、出資を受けている。
Maven
オンラインビデオで、婦人科や小児科の診察を受けることができる、女性のための遠隔診療のプラットフォーム。一般的な疾患だけでなく、避妊の相談や避妊薬の処方も可能。
Nurx
避妊薬のデリバリーサービス。合わせて緊急経口避妊薬のオンデマンドデリバリーも行っており、通常90分以内に届けてくれる。Y Combinatorのアクセラレーターに参加し、出資を受けている。
今回は米国の大統領交代後の、ヘルスケアニーズの変化とそれによって注目を集めるスタートアップをご紹介しました。是非Facebookをフォローし、新着記事をチェックしてください!
Author Profile

- Twitter:@miyakomx
- 慶應義塾大学看護医療学部卒業。在学中に海外のヘルステック企業やデジタルヘルス企業に関して取り上げる、HealthTechNewsを立ち上げる。その後米系ベンチャーキャピタル500 Startupsの日本ファンドを経て、現在はCoral Capitalで投資担当を務める。
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