米投資家が注目する、処方箋レコメンドサービスとその必要性

 
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雇用主負担の民間医療保険が医療保険の中心となっている米国では、景気が保険料の企業拠出割合に影響を与える。リーマンショック以降、雇用主側は従業員の医療保険にかかるコストの削減をせまられるようになった。これらの背景から、米国では雇用主の保険負担を軽減させるサービスのニーズが高まっている。
 
フォスターシティに拠点を置くOrationは、従業員の処方箋管理のためのソフトウェアOrationRxを提供している。医療保険から過去の処方記録を収集し、このデータに基づいてより低価格な処方箋を提案してくれる。これにより雇用主と従業員は医療用医薬品の費用を抑えることができる。また同社は、患者がモバイルデバイスで処方箋を効率的に管理できるよう支援するアプリも提供している。Orationは2015年12月、DFJ Venture、Andreessen Horowitz、Google Venturesらから1120万ドルの資金調達を行っている。
 

2016年注目を集める、米国の処方箋管理系スタートアップ

米国では薬局が薬品を卸業者から仕入れる際の仕入れ値は、仕入れる量や需給関係によって変動する。そのため薬局での販売価格も、仕入れ量の多い大規模な薬局のほうが小さな薬局よりも安くなる傾向にあるなど、診療報酬制の日本とは異なる。こういった背景により、Orationのようなサービスの需要が生まれている。
 
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Orationと同様のサービスを提供している会社として、デンバーのRxRevuがある。RxRevuはユーザーがより安価な医薬品を購入できるよう、医薬品データベースに基づきレコメンドしてくれる。約2000通りのコストカット方法を兼ね備えており、患者は年間500~3000ドルを節約できるという。同社は今月初め、300万ドルをベンチャーラウンドで調達。国の医療制度に貢献するスタートアップを育成する目的の投資ファンド、Summation Health Venturesらが出資している。
 
参考:PE HUB, CrunchBase, Built in Colorado
 

Author Profile

吉澤 美弥子
吉澤 美弥子Twitter:@miyakomx
慶應義塾大学看護医療学部卒業。在学中に海外のヘルステック企業やデジタルヘルス企業に関して取り上げる、HealthTechNewsを立ち上げる。その後米系ベンチャーキャピタル500 Startupsの日本ファンドを経て、現在はCoral Capitalで投資担当を務める。