Great Lakes NeuroTechnologiesは、タブレットとウエラブルデバイスを活用してパーキンソン病の診断と治療を行っている企業だ。Great Lakes NeuroTechnologiesの開発するKinesia HomeViewを用いてパーキンソン病患者の病態をトラッキングすることで、患者のADLの上昇や新しい治療法の開発へと繋げていきたいと考えている。
パーキンソン病とは
脳内のドパミン作動性ニューロンの8割が黒質線条体系であるが、この黒質線条体系でドパミンが産生されなくなることで運動障害をきたす神経変性疾患がパーキンソン病だ。有病率は100-150/10万人と言われており、今後高齢化が進んでいくに連れて患者数の増加が見込まれている。
パーキンソン病の4徴候とは、静止時振戦、筋剛強、無動・運動緩慢、そして姿勢保持障害である。治療として一般的に用いられるのは、L-Dopaであるが、これも対処療法に過ぎず継続的投与を行うと薬効が薄れる。近年注目されているのが脳深部刺激療法(DBS)で、これはパーキンソン病で亢進している視床下核の活動を改善することで、病態を改善することが出来るのだ。
Kinesia HomeViewによるトラッキング
Great Lakes NeuroTechnologiesの提供するKinesia HomeViewでは、患者の日常生活中のパーキンソン病の徴候をトラッキングすることが可能で、また、パーキンソン病の評価尺度のテストを実施することも出来る。1日数回試験を行うことで、医師は日内変動や薬・治療法の効果の判定、症状の進行度合いの観察などにこの情報を活用することが可能だ。
Kinesia HomeViewを活用するには、HP社のタブレットと、指先につけるBluetoothのセンサーを必要とする。今年度末までにモバイルアプリの開発を完了させるとしている。
Great Lakes NeuroTechnologiesは、集めてきた情報を活用して新たな治療法の開発も進めている。例えば、先日、経頭蓋骨の直流電流刺激試験の臨検を完了させた。今後も、医師と連携を進めて新しい試みを行っていく方針だ。
Great Lakes NeuroTechnologiesはアメリカ国立衛生学研究所(NIH)から150万米ドルの助成金を調達し、直接患者に販売する経路を新たに開拓していく方針だという。これまでにNIHからの総調達額が1420万米ドルになった。
via 【Kinesia HomeView】
via 【mobihealthnews】
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- ライターTwitter:@kazuki24_
- 慶應義塾大学医学部4年生。NPO法人ジャパンハートにて、クラウドファンディングプロジェクトを成功させ300万円を集めた実績を持つ。ソーシャルグッドを専門に、NPO向けのネットメディアであるテントセンでのライターを務める他、自身の学業である医学とITとの連携に広く興味を持つ。
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