フランスの研究者がマイクロソフトのキネクトモーションキャプチャーカメラと医療イメージングテストを融合させることにより、一皮隔ててリアルタイムに人の臓器を可視化する「デジタルミラー」を作り上げた。
ビデオ
どういうことか想像しづらい人もいるだろう。まずはこのビデオを見て欲しい。
デジタル鏡が生まれるに至った背景
Paris-South大学の科学者たちははボランティアに協力してもらい、PETやX線、MRIスキャンの高解像度画像を集めた。キネクトカメラを用いて24個の関節の動きを捉え、集めた医療画像をまるで生きているようなアニメーションへと昇華し、鏡のようなスクリーンに映し出すことに成功した。つまり、ユーザーが鏡の前に立つと、あたかも彼らの動きに合わせて映し出される映像が彼ら自身の内蔵を映し出しているように見えるというわけだ。
驚くことでもないが、ユーザーのリアクションは実に正直だった。ある実験では、科学者たちは30人の人間を鏡と一緒に数分放置していた。女性たちは特にこの鏡を気味悪いと思ったようで、胸を隠し画像が表示されないようにすることが確認された。約3分の1の人々がこの鏡について不快に感じたらしく、他の誰にも鏡に写っている姿を見せたくなかったそうだ。
「あなたがもし子供で、あなた自身の姿を鏡の前で見つけたならば、はじめあなたはそれが自分自身だとは分からなかったはずだ。でもいずれ理解する。興味深いのはこのデジタル鏡でも同じようなアクションが取られるということだ。この鏡はあなた自身の内部を映し出しているように錯覚させ、認識させてしまう。」
とリーダーのXavier Maitreは言及する。Maitre博士によると、このデバイスは「私達がどのようにして私達自身の身体を認識するのか」という哲学的な問いに対する答えを探求するために作られたという。しかしまた、医師が患者に手術のことを感情的に受け入れ準備させるためにも用いることが出来るだろうと博士は考えている。
「通常、医師はあなたにあなたのCTやMRI画像を見せるかと思いますが、それらはあなた自身の本当の身体とこれっぽっちもリンクしていない。もしかしたら他の人のCTであるかもしれないのだ。もしあなた自身がそうした画像データが実際に自分の身体のものだと認識することができれば、もう少し正確に準備を行い、情報を享受できるようになるかもしれない」
と博士はコメントしている。
筆者の所感
医療版3Dマッピングといったところだろうか。実験によると気持ち悪く感じる人が多かったという結果だが、これは同時に人間の身体感覚の共有レベルがどれだけ拡張できるかという可能性も示している。今後医療の現場でもリアルタイムのイメージング技術というものは発展していくと考えられる。期待したいところである。
参考URL:
- http://abcnews.go.com/blogs/health/2014/04/16/weird-digital-mirror-shocks-with-internal-organ-reveals/
- http://abcnewsradioonline.com/health-news/digital-mirror-reveals-internal-organs.html
Author Profile

- Twitter:@gomessdegomess
- ゴメスこと中込翔。慶應理工システムデザイン工学科卒業。脳血管のシミュレーションの研究を行った。現在はインドのシリコンバレー:バンガロールにてソフトウェアエンジニア。ヒューストン大学の博士課程に合格、9月進学予定。ブレイン・マシン・インターフェイスにおける研究を行う予定・
。個人ブログも展開中。
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