頭蓋骨を3Dプリンターでプリントアウトし移植手術

 

私達人間の「骨」は人体の最も基本的な要素であると同時に最も大切な構成要素と言っても過言ではない。世の中には、稀に骨に異常をきたす病気が存在し、一度こうした異常が頭蓋骨で起こってしまうと、脳に対する影響が甚大である。今回オランダで治療を受けた女性はそうした深刻な病状に悩む女性で、現状改善のため3Dプリンターによるプラスチック頭蓋骨の移植という世界初の手術を行った。

 

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深刻な骨の病気

 

その女性は頭蓋骨が厚くなる病気で悩んでいた。一見なんともないような事実だが、このことによって彼女は深刻な頭痛や視力にまで影響が出ていたということである。これはいずれも頭蓋骨の骨が厚くなりすぎることによる脳への圧迫が原因だと考えられている。

 

 

頭蓋骨を3Dプリントアウトする

 

今回手術を行ったのはオランダにあるMedical Center Utrecht大学で、オリジナルの形を寸分狂わないプラスチック性の頭蓋骨をプリントアウトし、移植手術を行ったということだ。今回その手術の執刀医を務めたBon Verweij医師によると、まったく同じ形状の頭蓋骨を用いることで、彼女が手術をしたのかすら分からないような完璧な施術が施せるということである。

 

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Verweij医師の研究チームは以前3Dプリンターで頭蓋骨の一部を入れ替える手術を成功させていたが、今回ほど大部分の頭蓋骨を入れ替えるのははじめてだったという。

 

 

筆者の所感

 

3Dプリンターと医療の相性の良さは折り紙つきであるということは以前も話したと思うが、ついに人間の最もデリケートな部分でもある頭への応用も可能になってきたことを示す一例である。未だに残る問題としては人体への生体適合性だと思うが、そうしたところをどうやって解決していくのか期待したいところである。

 

 

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Author Profile

中込 翔
中込 翔Twitter:@gomessdegomess
ゴメスこと中込翔。慶應理工システムデザイン工学科卒業。脳血管のシミュレーションの研究を行った。現在はインドのシリコンバレー:バンガロールにてソフトウェアエンジニア。ヒューストン大学の博士課程に合格、9月進学予定。ブレイン・マシン・インターフェイスにおける研究を行う予定・
個人ブログも展開中。