心臓発作の”音”を聞く、AUM Cardiovascular社の開発したデジタルデバイス

 
ミネソタ発の医療スタートアップ「AUM Cardiovascular」は、冠動脈疾患の兆候を音の変化から診断するデバイスを開発した。冠動脈疾患は心筋梗塞における最多の要因となっており、AUMではわずか8分の簡便な検査でこれを発見することが出来る。

心筋梗塞による突然死

心筋梗塞は虚血性心疾患の1つであり、心臓を栄養する冠動脈が閉塞や狭窄を起こすことで血液の流量が下がり、心筋が虚血状態になり壊死してしまった状態を指す。
冠動脈の閉塞や狭窄は動脈硬化が大きな原因の1つだ。動脈硬化の内部では、コレステロールなどの脂質と、それを貪食したマクロファージからなる脂質コア、それを覆う繊維性被膜が形成されている。繊維性被膜と脂質コアを合わせて、プラークという。このプラークが破綻することで血栓が形成され、一気に冠動脈が閉塞し急性の心筋梗塞を引き起こす。
 
米国において、3人に1人が冠動脈の疾患で亡くなっているとされており、冠動脈疾患は致命的な状態になるまで自覚症状がないことも多い。
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AUMのデバイスでは、冠動脈の閉塞に伴う特異的な音を判別し、心筋梗塞を事前に診断・予防することが出来る。卵ほどの大きさのデバイスを胸のポイントに押し当てるだけで、血液の乱流の音を判別し冠動脈の閉塞の有無を調べることが出来る。
 

AUMのスクリーニング検査における活用

AUMによるテストは、侵襲性がなく短時間で行うことが出来るのが大きな利点であるが、どの血管が詰まっているのか正確に伝えることは出来ない。しかし、AUM実施後に精密検査が必要となるかどうかは判別することが可能だ。
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心臓の精密検査の1つとして、心臓核医学検査(心筋シンチ)が挙げられる。心臓核医学検査は、心臓の壁の動きの異常や左室駆出率の低下など、心不全の程度を把握することが出来る。この検査をすると、心筋梗塞の場所や広がりがわかり、負荷試験を行なえば、狭心症で血管の狭くなっている部分や虚血の範囲も明らかになる。
 
しかしながら、心臓核医学検査は一回に10万円程度かかってしまい、検査に数時間を要する。その点、AUMのデバイスは検査は2万円程度で8分で終わるという点から、スクリーニングという観点で優れていると考えられる。
AUMは臨床試験とともにシードラウンドの調達を現在進めており、その結果次第では今年半ばにヨーロッパで、秋にはアメリカでリリースする予定だ。


日本のみならず、先進国では医療費の高騰が大きな問題となっている。医療費削減の一助として、予防医学が様々な観点から注目されており、例えば遺伝子検査やウエラブルデバイスの活用もその一例と考えられるだろう。
より安価かつ患者にとっても簡便な方法で疾患を予防することは、今後大きなムーブメントになっていくと考えられる。
 

via 【AUM Cardiovascular
via 【Medcity
via 【Huffington Post
 

Author Profile

松村 一希
松村 一希ライターTwitter:@kazuki24_
慶應義塾大学医学部4年生。NPO法人ジャパンハートにて、クラウドファンディングプロジェクトを成功させ300万円を集めた実績を持つ。ソーシャルグッドを専門に、NPO向けのネットメディアであるテントセンでのライターを務める他、自身の学業である医学とITとの連携に広く興味を持つ。