Exogenによる一般人参加型のDNAプロジェクトが、全世界に向けてリリース



Exogen Biologyによる、個人の”DNAの健康状態”を知るためのプロジェクトが、クラウドファンディングで7万米ドルを集めアメリカ国外に向けても公開された。Exogenに関しては以前も取り上げたが、Lawrence Berkeley National Laboratoryからスピンオフしたスタートアップであり、パーソナライズされた医療を提供するために必要となる、個人のDNAダメージをモニターする技術を開発した。

DNAのダメージが示す、健康への影響

環境や化学物質、紫外線などの外的要因によってDNAは絶えず傷つけられ、体内の修復酵素の効果で損傷が回復されるというループを繰り返している。これはどの生物の身体においても当たり前に起きている現象であるが、このDNAのダメージが回復されなかった時が大きな問題となる。

 
Exogenのco-founderであるJon Tangは、

弊社は、DNAダメージの中でも最も深刻なDNAの二本鎖切断の有無を調べている。驚くべきことに、DNA二本鎖切断は極めてよく起こり、環境や個人的な遺伝子、そしてライフスタイルに大きく影響されるのだ。
70兆を超える身体の細胞は、毎日1-10箇所のDNA二本鎖切断を経験しており、このダメージが適切に修復されないと、健康問題を引き起こしてしまう。

と語る。
Exogenの開発した技術を用いればDNAのダメージを簡便に測定することが出来るために、集めたデータを用いて予防医学に繋げることが考えられている。自らの健康状態を、DNAのレベルで考えることが出来るのだ。

Sylvain_Jon2_sm (Exogen BiotechnologyのCo-Founder、Sylvain Costes, Ph.D. (左) と Jon Tang, Ph.D. (右))


研究のクラウドソーシング化

ExogenのCitizen Science Campaignでは、一般人に血液と合わせて、年齢やライフスタイル、生活環境と罹患している疾患などの情報の提供を求めている。DNA損傷とこれらの要因との相関関係を導くことを目的にしており、情報を提供したサポーターは自らのDNAの損傷度合いを知ることが出来る。
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Citizen Science Campaignは研究のクラウドソーシング化とも言い換えられるが、集めたデータを元に新しい疾患の発見や予防に関して価値のある情報を提供したいとExogenは考えている。
今回、アメリカ国内向けのクラウドファンディングが成功したことに伴い、国際的なプロジェクトもリリースした。
 

年齡、人種、性別が同じだが違う国に住んでいる個人間で、DNAダメージ量に差異があったら面白いと感じないか? このテクノロジーを用いれば、すごい有益な情報を手に入れられると思うんだ。

と、Exogenのco-founderであるSylvain Costesは語る。
現在、アメリカ国内では99米ドル、国外では輸送費を含めて124米ドルからプロジェクトに参加できる。
 
Costesは今後の展望についても話してくれた。

Exogenの別の目標として、電離放射線への曝露をモニターすることが挙げられる。
例えば、X線やCTなどの画像診断を行った前後にDNAダメージの変化を測定することで、患者が放射線にどの程度暴露され、それがどのような影響を及ぼしているのかを調べることが出来る。
また、福島のような事故が起きた場合に、DNAダメージを測定することで、その事故による身体への影響や、治療の必要性などを即時判断できるようにしたいんだ。



DNAの二本鎖の切断が、彼らの言うライフスタイルで変化するかというと、懐疑的な意見も多いように感じる。また、今回データの提供とお金の支払いをサポーターに求めているのに対して、サポーターに提供されるのはDNAの二本鎖の切断数の情報のみで、メリットはそれほど多くない。
それにも関わらず、400人近くがこのプロジェクトに出資していることから、自らの身体の健康状態をより深く知りたいと願う人が多いのがうかがい知れる。また、福島での事故の際、適切に被曝の影響を測定することが出来なかった為に、様々な憶測が飛び交ったことは記憶に新しい。Exogenの技術は、放射線という目に見えない不安を解消する一助になる可能性があり、これからも注目していきたい。
 
via 【Indiegogo
via 【Exogen Biology


Author Profile

松村 一希
松村 一希ライターTwitter:@kazuki24_
慶應義塾大学医学部4年生。NPO法人ジャパンハートにて、クラウドファンディングプロジェクトを成功させ300万円を集めた実績を持つ。ソーシャルグッドを専門に、NPO向けのネットメディアであるテントセンでのライターを務める他、自身の学業である医学とITとの連携に広く興味を持つ。