喘息の吸入器のセンサーを開発したPropellerが、Social+Capital Partnershipから500万ドルを調達



喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者の吸入器に装着するセンサーを開発したアメリカのスタートアップPropellerは、Social+Capital Partnershipから500万ドルを調達した。Propellerの開発したAsthmapolisは、吸入器の使用場所、時間、回数などを情報をトラッキング出来るセンサーだ。

喘息とCOPDに欠かせない吸入器による治療

世界で数億人が罹患しているという、喘息やCOPDなどの慢性的な呼吸器疾患。
可逆性があるか否かなど差異はあるが、この両者の疾患は炎症のために慢性的に気道が閉塞するという共通点を持つ。このため息苦しさや咳嗽、動くと苦しいなどの症状が起きる。また、喘息はアレルギーなどの原因物質を、COPDは喫煙や排気ガスなどの有害物質を吸引することが、気道の炎症の原因とされている。

 

通常、喘息やCOPDの患者は、長期管理薬(コントローラ)と発作治療薬(リリーバー)の2種類の治療薬を持ち歩いている。コントローラが毎日使用することにより気道の炎症を抑え、症状を緩和する薬なのに対して、リリーバーは速やかに気管支を拡張し、発作を鎮める薬である。

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喘息およびCOPDのコントロールのためには、吸入器の使用状況に関する情報を知ることが、患者側からも医師側からも、更には公衆衛生の観点からも重要となる。そこで開発されたのが、Propellerの開発したAsthmapolisだ。

吸入器の情報をトラッキングする、Asthmapolis

PropellerのAsthmapolisは既存の吸入器の先端につける小さなセンサーで、モバイルアプリとBlootoothで通信する。喘息やCOPDの患者が吸入器を使用したことをトラッキングしてモバイルに情報を送信する。

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コントローラとリリーバーの両者ともトラッキングすることが可能で、患者は吸入器を使用した時間や場所を記録するのみならず、アラートやリマインダーとして使用することも可能で、更には情報を医師と家族とシェアする為にも使用する。
公衆衛生学的な視点からも、吸入器を使用した人が多い場所をマッピングすることで、有害物質の蓄積との相関関係がKentucky州のLouisvilleなどの町で研究されている。

 

 

アメリカ、ウィスコンシン州に位置するPropellerは、Social+Capital PartnershipからシリーズAラウンドで500万ドルを調達した。Social+Capital Partnershipは、Facebookの前執行役員のChamath Palihapitiya氏が立ち上げたベンチャーキャピタルで、ヘルスケアや教育、モバイルなどの分野に投資を行っている。

 

ヘルスケア部門においてもモバイルとデバイスの組み合わせはウエラブルデバイスに見るようにますます増加している。今後も特定疾患に特化したこのようなデバイスが増加していくことが予想され、その動向を注視していきたい。
 
via 【Propeller
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Author Profile

松村 一希
松村 一希ライターTwitter:@kazuki24_
慶應義塾大学医学部4年生。NPO法人ジャパンハートにて、クラウドファンディングプロジェクトを成功させ300万円を集めた実績を持つ。ソーシャルグッドを専門に、NPO向けのネットメディアであるテントセンでのライターを務める他、自身の学業である医学とITとの連携に広く興味を持つ。