医療分野で先進的な取り組みをしている企業に出会えるイベント、第五回ヘルスケアベンチャーフォーラム

第五回目になるヘルスケアベンチャーフォーラムが2月1日、慶応義塾大学医学部のキャンパスで開催された。運営団体のHVF運営委員会代表の諏訪内氏は現在東京大学医学部附属病院の医師だ。諏訪内氏はヘルスケアのスタートアップ活性化を目指し、ヘルスケアベンチャーのためのイベントを開催している。第五回目のイベントではヘルスケアの分野でビジネスを展開している国内の4社(団体)の代表がプレゼンを行った。

 

民間,公的機関,研究機関,国民を結びつけるプラットフォームを創る。慶應大学の取り組み「K-PHI」

 

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慶應大学が日本の研究機関として、医療のプラットフォームを創るK-PHIプロジェクトを進めている。大学病院などの研究機関は国民からの信頼があついということを活かし、日本の医療ビジネスの発展を促進する試みを行っている。今回登壇した慶應義塾大学医学部特任助教の宜保友里子氏は「国民にとって未知のヘルスケア商品・サービスを、わかりやすくし、情報提供の仕組みを整えることが大学医学部の役割ではないのか」と語った。
現在K-PHIは大学病院の持つ医学的データに基づき、製品などに健康そ指標化したマークなどの認証マークを授与している。(厚生労働省の特保マークのようなもの)その他にも民間企業や教育機関と連携したビジネスの展開などを進めている。
今後はライフログデータを民間企業と連携して共有しすることや、大学が保有する診療録を一元的に管理できるデータベースを構築することを目標としているとのこと。そしてデータベースを必要な事業やサービスに結びつけていくことを目指しているという。


ヘルスケアスタートアップでは医師の囲い込みが重要、海外投資事業の経験から語るスタートアップ

看護師の人材派遣事業で業績を伸ばしている日本企業の株式会社エス・エム・エスでは事業開発の一貫として、東南アジアのヘルスケアスタートアップへの投資を行っている。今回は事業開発本部の安川新一氏が登壇し、米国のヘルスケアに特化したインキュベーターへの投資について語った。
エス・エム・エスは4大ヘルスケアインキュベーターの一つ、Blueprint Healthに出資し、その際にみた米国スタートアップの現場が特徴的だったと語った。米国ならではの起業からExitまでの流れとその循環の様子を中心に日本との違いを明確にした後、Blueprint Healthの投資先スタートアップを数社紹介した。
安川氏はヘルスケアスタートアップを立ち上げる際に重要なのは「医師の囲い込み」であると語り、これは日米共通だという。米国の医師・医学生による論文研究支援プラットフォームなどは医師のソーシャル上での行動分析をもとに効果的なWEB上のMR活動を製薬会社に提供しているという。日本での成功事例でいうとエムスリーなどが当てはまるだろう。

病院や製薬企業向けの医療データをC向けに。データをつかった予防医学のサービス

レセプトデータを活用した健康管理webサービスを立ち上げるためにウエルネスデータ株式会社を設立し、代表取締役に就任した星野栄輔氏が登壇し、予防医学について語った。
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ウェルネスデータが提供しているWellcanは、通常医療機関や製薬企業で利用される臨床データを活用したC向けの予防医学をサポートするサービス。星野氏はいかにデータを、一般のひとにとって有意義なものとしてみせるかという点に注目してサービスを提供しているという。

産業医市場へ進出、産業医プラットフォームをつくるiCAREの展望

 

iCARE社の代表飯盛(いさかり)崇氏は慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネススクール)在学中に同級生の山田洋太(医師)とともに株式会社iCAREを創業し、成長企業支援サービスの一環で産業医向け電子カルテ「Catchball」を開発した。現在は企業のヘルスリスクの低減と企業人事・産業医の業務支援に注力している。産業医マッチングサイト「産業医Connect」を近日リリース予定とのことだ。

 

産業医Connectは産業医と企業のマッチングプラットフォームで産業医の能力を可視化し、比較できるようにするという。産業医側のメリットとしては担当している複数企業を一元管理できるようになるということだ。iCARE社はこのデータを収集し、ビックデータとして活用することを将来的におこなっていくという。

 

 

今回のイベントで筆者が個人的に感動していたのは、看護人材派遣大手のエス・エム・エスが海外のスタートアップやVCへの投資事業を盛んに行っていたということだ。今後HealthTech Newsではこのような海外ヘルスケア事業に投資している日本企業を追っていきたい。

 

 

 

Author Profile

吉澤 美弥子
吉澤 美弥子Twitter:@miyakomx
慶應義塾大学看護医療学部卒業。在学中に海外のヘルステック企業やデジタルヘルス企業に関して取り上げる、HealthTechNewsを立ち上げる。外資系証券会社の株式リサーチ部で、TMT市場に関わる調査アシスタントなどを経て、現在はシリコンバレーのベンチャーキャピタル、500 Startupsの日本ファンドに務める。