てんかんで苦しむ子供たちを救え。マリファナの光と影。

 

近年、アメリカで医療目的でのマリファナ使用が合法化されつつある。今回紹介するのは「てんかん」で苦しむ子供たちを救える可能性としてのマリファナの薬物医療だ。一方で、我々が持つマリファナは危険だという固定観念はどこから現れたのか?マリファナの歴史も振り返りながら探っていきたい。

 

 

発作で苦しむ7歳の女の子

 

4年間にわたって17回も行われてきた薬物治療は結局Haley Osbornの痙攣を止めることは出来なかった。時には自分自身を傷つけてしまう1日に何度も訪れるこの症状は、脳における電気信号の混線から生じていると考えられている。

 

Haleyの両親であるJillとArthurはコロラド州で深刻な症状に苦しむ子供がマリファナによって救われたと聞いてから、娘にも薬を処方したいと考えている。しかしながらマサチューセッツ州においてマリファナが合法化されてから1年、未だに薬を手に入れられずにいる。彼らのように深刻なてんかんで苦しむ人たちやその家族は今か今かと固唾を呑んで現状を見守っている。

 

 

マリファナが持つ可能性

 

マリファナは多くの慢性的な病気のための治療薬として推薦されつつある。まだ十分に研究がなされているとは言いがたいが、少なくとも子供たちのてんかんにおける治療ではマリファナのもたらす効用が有効であるという説が人気を博しつつある。数少ない研究によると、マリファナの主要成分の一つ、カンナビジオール(CBD)が発作の発生頻度を抑える効能があると報告されている。なので、MassGeneral病院含め、世界各国の4つの病院がCBDを用いた臨床試験を行う予定である。

 

 

アメリカにおけるマリファナの取り扱い

 

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Policymicより引用)

 

現在ではアメリカの20州+ワシントンにおいて医療目的のマリファナが合法化されている。合法化の動きはますます活発になっており、ニューヨーク州、テネシー州、アリゾナ州、ケンタッキー州、マリーランド州、ニューハンプシャー州、そしてアラスカにおいても合法化に向けての努力や投票が行われている。

 

 

有用な薬だったマリファナはなぜ禁止されたのか

 

元々マリファナは19世紀末から20世紀のはじめにかけて世界で最も使われていた非常に有用な薬だった。転換期が起きたのは20世紀に入って、注射という投与方法とモルヒネの開発がなされてからである。当時注射薬にできるのは水に溶かすことができる薬だけだったので、マリファナは注射薬にすることができなかった。一方モルヒネは水によく溶け注射薬にすることが可能であり、麻薬であることから、マリファナに比べて効果が大変優れていることもあってマリファナは使われなくなっていった。その後1937年マリファナ課税法の成立を発端にマリファナは表舞台から姿を消していくこととなる。

 

しばらくしてこのマリファナ課税法はまったく別の法律に置き換えられることとなる。当時、人種差別の傾向にあった世論を見方につけ、メキシコ国境の町で吸われていた大麻と言う植物とそれを使用している人々を悪者にすることで、マリファナの使用を禁止する法案を議会に提出し、大麻取締法を強引に成立させたと言われている。

 

それから、20世紀のほとんどを通じて、マリファナを吸うのは、社会悪であると言う宣伝が行われ続け、ついに大麻取締法が国連の国際条約になり、世界規模で大麻の栽培が禁止されていった。

 

詳しくはこちらを参照されたい。

 

 

筆者の考察

 

アメリカにおいては最近、毎日のようにニュースを賑わせている「マリファナ」という単語だが、実際に詳しく調べてみるまで筆者も誤解していた部分が非常に多かったことを痛感した。マリファナ=禁止された薬物という事実が多くの人の誤解を生んでいると考えられる。

 

近年になってようやくマリファナの持つ薬としての有用性にスポットが当てられるようになってきたが、果たして今後どのようにして世界に受け入れられていくのか、注目したいところである。

 

 

参考URL:

photo credit: MendezEnrique via photopincc

 

Author Profile

中込 翔
中込 翔Twitter:@gomessdegomess
ゴメスこと中込翔。慶應理工システムデザイン工学科卒業。脳血管のシミュレーションの研究を行った。現在はインドのシリコンバレー:バンガロールにてソフトウェアエンジニア。ヒューストン大学の博士課程に合格、9月進学予定。ブレイン・マシン・インターフェイスにおける研究を行う予定・
個人ブログも展開中。