人間の健康を管理するナノテクノロジー

 

ナノテクノロジー。これから20年スパンで間違いなく時代を牽引することになる応用範囲の広いテクノロジーです。今回はそんなナノテクノロジーが人間の健康に対してどのようなイノベーションを起こすのかについての紹介です。

 

 

未来のパッチ

 

自分の手に装着されている小さなパッチが風邪を事前に感知し、症状を和らげる処置を勝手にしてくれるとしたらどうでしょうか?こうした革新的なナノテクノロジーパッチはその日ごとに、もしくは数週間、一ヶ月にわたって取るべき行動を教えてくれるでしょう。また、こうしたパッチの出現はアスリートたちの体調管理、試合中などの些細な異常さえも感知し、対処を可能とするでしょう。

 

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ナノテクノロジーがガンを撃退する

 

最近のアメリカにおいて死因の第2位に食い込むに至っているガンを撃退するための有効で安全な処方を長年にわたってアメリカの研究者たちは探してきました。そんな中注目を集めているのがナノメディシンです。

 

その他の処方と比べてナノメディシンはガンと戦うのに大きな成果が期待できる手法だということです。臨床前のテストでは、ナノマテリアルが安全にかつより迅速にイメージングと薬の運び込むことに成功し、患者の健康な細胞を一切傷つけることなく腫瘍を正確に捉えることができたと報告されています。

 

 

ナノテクノロジーに寄せる期待

 

私は個人的にここ20年ぐらいでもっとも注目を浴びるであろう技術の一つにナノテクノロジーを考えています。理由は主に2つで、ナノというスケールの持つ汎用性と、それを扱う技術的な成熟です。

 

私達の身の回りのものはすべて細かい単位で見ると、原子からできています。言い換えれば、最小単位を操作するということは、何ものをも構成し得るということだと考えています。またナノスケールでの物の構築は今までは不可能だった細部への介入、つまり今までは不可能だったスケールでの一からのものづくりが可能になり、それが新たな素材の発明などにも繋がります。つまりナノテクノロジーとは、すべてのものを構成し得る革新的な技術であり、細部をも自由自在に構築することで新たな素材すら発明することができてしまう、故に汎用性が非常に高いということです。

 

また、近年ナノテクノロジーと組み合わせることでさらなる飛躍をもたらすであろう技術的なバックグラウンドが成熟してきました。ナノスケールの観測装置はもちろんのこと、ナノスケールで原子を操作する機械、そして3Dプリンティングなどの技術は将来的に一般家庭でのナノスケールの物の構築を可能にしてくれると信じています。

 

今回紹介したナノメディシンはそのほんの一端で、少しずつナノテクノロジーが応用され始めている兆候を見て取ることができる研究結果だと考えています。これからますます面白くなってきそうな世の中に生きることができていることを心底嬉しく思います。

 

 

未来を語るビデオ

 

 

 

参考URL:
http://gigaom.com/2013/12/23/innovation-drives-nano-enabled-sensors-to-monitor-human-health/
http://www.cemag.us/news/2013/12/advances-nanotechnologys-fight-against-cancer#.UrkPanlvQgI
http://www.authintmail.com/article/health/now-nano-pill-better-drug-delivery
photo credit: St Stev via photopin cc

Author Profile

中込 翔
中込 翔Twitter:@gomessdegomess
ゴメスこと中込翔。慶應理工システムデザイン工学科卒業。脳血管のシミュレーションの研究を行った。現在はインドのシリコンバレー:バンガロールにてソフトウェアエンジニア。ヒューストン大学の博士課程に合格、9月進学予定。ブレイン・マシン・インターフェイスにおける研究を行う予定・
個人ブログも展開中。