X線のように人体を透過して観察できるメディカルゴーグル登場

 

今回はナースや医師が装着するX線ゴーグルの紹介です。

 

近赤外線を利用した生体透過性の高いゴーグル

 

Evena Medical社は最近、肌を透けて見ることができるゴーグルを発表しました。こうしたゴーグルを用いれば、医師やナースが静脈を簡単に見つけることができるようになるそうです。このゴーグルは、Evena社が持っている近赤外可視化テクノロジーの特許を利用していて、注射や静脈へのカテーテルをより簡易化できると期待されています。医師や看護師の負担を減らすことができるほか、読者のみなさんのような患者の痛みを減らすことも可能となるそうです。

 

今回紹介したEvenaのデバイスはEpsonのMoverioのスマートグラステクノロジーも用いているそうで、現実世界に存在する物体の上からバーチャルなコンテンツを重ねてみることができるそうです。

 

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Mashableでは、Anna Jen局長が「こうした看護の効率化、患者の快適性に繋がるものとしてEpsonのMoverioスマートグラステクノロジーが用いられることは筆舌に尽くしがたい」と述べています。

 

加えて、このグラスは、Bluetooth, Wi-Fi, 3Gを利用することで、実際に装着者が見た映像を遠方に送ることがも可能であるということです。また、送受信可能な音声と写真や動画をセーブ可能なストレージは、研修や早期コミュニケーションに一役買うと期待されています。例えば、病院の別の棟にいる医師に看護師が簡単な処置を確認したいときなどこうした機能が効力を発揮することでしょう。

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近赤外線とは?

 

補足ですが、近赤外線というのは可視光線(見える波長領域)よりも波長の長い光でして、酸素化したヘモグロビンと脱酸素化したヘモグロビンの光を吸収する強さ(スペクトル)のちょうど間、つまり生体透過性の高い部分を狙い打つことでより身体の奥の情報を入手することができます。なので今回のようにゴーグルに応用すれば、肌を透けて血管を見ることが可能になるということです。技術的にはそれほど新しくはないものですが、実際にウェラブルとすることで今回のような新しい価値を提供できるのは非常に興味深いところですね。

 

参考文献:
http://www.psfk.com/2013/11/xray-vision-medical-goggles.html
http://www.med.shimadzu.co.jp/products/om/qa01.html

Author Profile

中込 翔
中込 翔Twitter:@gomessdegomess
ゴメスこと中込翔。慶應理工システムデザイン工学科卒業。脳血管のシミュレーションの研究を行った。現在はインドのシリコンバレー:バンガロールにてソフトウェアエンジニア。ヒューストン大学の博士課程に合格、9月進学予定。ブレイン・マシン・インターフェイスにおける研究を行う予定・
個人ブログも展開中。