ジョンズホプキンス大学の開発した、脳障害を防ぐためのバイオセンサー



ジョンズホプキンス大学は、心臓手術中に脳への深刻なダメージが生じた際にアラートする、小型のバイオセンサーを開発しました。このデバイスを使うことで、医師は脳へのダメージを最小化するための新しいアプローチを考え、早急な治療を検討することも出来ます。

 

心臓手術に伴う、脳障害

心臓手術は人工心肺を用いることが多く、この人工心肺装置に血液を通す際に赤血球などの血液成分は多少のダメージを受け、これが脳の血管に損傷を引き起こします。また、人工心肺装置を用いるために行う抗凝固薬などの投与も、同様に脳血管へのダメージに繋がります。このダメージが脳卒中などを引き起こすことで蓄積し、手術後数年経過した後に脳の神経障害を引き起こし症状が出てくることが有ります。
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特に、胎児においては心臓手術後の約40%は脳の異常がMRIにて観察されたというデータが有ります。通常、先天性の心臓疾患を治療するためには、複数回の手術が必要となりますが、1番最初の手術はたいてい生まれてすぐに行われるものです。
医療技術の進歩により、心臓手術の成功率は格段に上昇し病弱な胎児を救うことは出来るようになりましたが、この脳へのダメージによって成長するに従って精神発達や運動能力に障害を引き起こし、長期的な予後はあまり改善できていないのが現実です。

 

バイオセンサーの開発

これらの問題を解決するために、ジョンズホプキンス大学では、グリア原線維酸性たんぱく質(GFAP)に反応するバイオセンサーを開発しました。GFAPは脳損傷にリンクしたバイオマーカーであることが知られており、GFAPを見つけた時にアラートを出すことが出来れば、手術をより安全なものに改善していくことで、将来的な脳へのダメージを防ぐことに繋がります。
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このバイオセンサーはコイン大の小さな正方形をしており、その表面はGFAPと結合する抗体に覆われています。患者の血液を垂らすことで、GFAPと結合すると表面の分子構造が変化しデバイスを流れる電流量が変わります。この電気刺激の変化がモニターされ、GFAPが存在するかどうかを検知することが出来るのです。従来では、手術後何年か経過して症状が現れないと、その手術における脳へのダメージの大きさを判定できなかったのが、このデバイスを用いることで一瞬で調べることが出来るようになります。
 
このデバイスは現在特許申請中で、臨床試験を行うためのパートナー企業を探しています。現在は、Cove Point財団 Johns Hopkins Environment, Energy, Sustainability and Health Instituteから支援されています。

このバイオセンサーを用いることで、心臓病手術を行った胎児の脳障害の割合を減らすことに繋がるのみならず、最終的に迅速選手や事故の犠牲者の中で脳損傷を検出するなどの応用も考えられます。アカデミックの分野からのイノベーションに、これからも期待されます。

Author Profile

松村 一希
松村 一希ライターTwitter:@kazuki24_
慶應義塾大学医学部4年生。NPO法人ジャパンハートにて、クラウドファンディングプロジェクトを成功させ300万円を集めた実績を持つ。ソーシャルグッドを専門に、NPO向けのネットメディアであるテントセンでのライターを務める他、自身の学業である医学とITとの連携に広く興味を持つ。