ソニー、内視鏡手術向けに3Dヘッドマウント・ディスプレイを開発



ソニーは内視鏡手術向けに、3D表示に対応したヘッドマウント・ディスプレイ(3D HMD)のシステムを開発しました。このシステムによって、外科医は自由な姿勢で手術を行うことが出来るのみならず、鮮明な立体拡大画像を見ることが出来るようになります。
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内視鏡手術の問題点

近年、低侵襲手術として腹腔鏡手術やロボット手術が登場して、世界的に広く普及しています。腹腔鏡手術においては、患者の腹部に空けた数か所の穴から挿入した内視鏡で体腔内を撮影し、リアルタイムにモニターに表示し、モニター上の映像を確認しながら行うことになります。
 
腹腔鏡手術は開腹手術に比べ患者への負担が少ない手術として普及していますが、モニターを通じてみた映像の奥行きがわかりづらい、手術野とモニターに視線を往復させる必要があり、開腹手術よりも難しい手術とされています。また、内視鏡手術などにおいて、通常医師は、映像を外付けのモニターで確認しながら施術するため、モニターへ向いた姿勢を保ちながらの施術となり、医師の姿勢と動きが制限されます。

 

ソニーのヘッドマウントディスプレイ

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ヘッドマウントディスプレイとは、ゴーグルやヘルメットのような形状をもつ画像表示装置のことである。頭に装着して、小型のスクリーンで左右の目にコンピューターが作り出す映像を見せて立体感を実現させ、仮想現実感を体験させることができ、主に映画やゲームなどの使用に用いられます。
 
ソニーが開発した医療用のヘッドマウントモニターは内視鏡画像が3D表示されることに加え、頭部装着型のため医師は手術室に置かれたモニターを見ながらではなく自由な姿勢で手術を実行でき、スムーズな作業を行うことが出来ます。また、その形状は目の周囲を完全に覆うのではなく、下部に隙間を設けることで、医師が患者を見たり器具の受け取りなどをしやすいようになっています。

 

さらに、2つの映像を同時に表示できる「ピクチャーインピクチャー機能」により、例えば内視鏡映像に加え、超音波内視鏡といったその他の画像情報などを同時に表示することも可能です。また、映像を上下/左右に反転して表示できるため、例えば手術現場において、執刀医の内視鏡映像を向かい合った術者と助手が、内視鏡映像をそれぞれの立ち位置からの視点で見ることが出来ます。

今後の展望

まずは国内において2013年8月1日に発売され、想定価格は150万円前後。年間販売目標は1000セットを目指しています。3D対応内視鏡は徐々に市場に導入され始めており、2015年には11年の約2倍の2万2425台に達する見込みの外科用内視鏡のうち、20%が3D対応になると見込んでいます。

 

ソニーはテレビ事業などの不振が続く中、医療事業の売上高を20年に2000億円以上に引き上げる目標です。モニターなどの周辺機器の販売に加え、今年4月にオリンパスと合弁会社を設立し、高精細の映像技術「4K」を用いた新たな外科用内視鏡の開発なども進めており、今後の流れに期待されます。
 
via 【Medgadet

Author Profile

松村 一希
松村 一希ライターTwitter:@kazuki24_
慶應義塾大学医学部4年生。NPO法人ジャパンハートにて、クラウドファンディングプロジェクトを成功させ300万円を集めた実績を持つ。ソーシャルグッドを専門に、NPO向けのネットメディアであるテントセンでのライターを務める他、自身の学業である医学とITとの連携に広く興味を持つ。