富士フイルムの3Dマンモグラフィーによって、乳がんの正確な診断を可能に



従来のマンモグラフィーは2Dであり画像の読影が難しく、腫瘍の局在の正確な成長度合いを測ることが困難でした。しかし、富士フィルムが開発した、”3Dマンモグラフィーシステム”によって腫瘍の状態を立体視できるようになり、この問題を解決できるようになるかもしれません。

乳がん診断の問題点

女性にとって最も一般的なガンは乳がんで、乳がんへの対処は近年ますます顕在化している問題です。2010年には160万人が新たに乳がんに罹患したとして報告されています。しかも、末期にならないと痛みなどの症状が出ないため、欧米では”silent disease”とも呼ばれています。
 
早期発見の為のスクリーニング検査によって乳がんによる死亡率を有意に下げることは出来るが、従来のマンモグラフィーは2Dであるため腫瘍の存在する場所の正確な深度を調べることが出来ず、腫瘍の成長度合いをおおまかにしか推定することしか出来ませんでした。また、他の腫瘍が発生する可能性がある身体の他の部分と異なり、乳房には骨や他の目印となる構造物が無いため相対位置・大きさを調べることも困難です。
 
富士フイルムメディカル株式会社AMULET 3Dマンモグラフィーは、これらのいくつかの懸念を解決するための手段となりうり、既に欧州で使用が認められています。 全世界で1000台以上販売され、日本国内でもすでに導入されています。
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3Dマンモグラフィーの提供できるソリューション

 
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AMULET 3Dマンモグラフィーは、0度と4度の角度から撮影した2枚の高解像度画像(X線)を組み合わせます。その角度は人間の眼の角度と同じように作られており、人間の眼の立体視を模倣することによって3D画像を作り出します。
この画像は、富士フイルム独自の立体視モニターに投影され、医師は3Dメガネをつけて見ることで2次元のマンモグラフィ画像に比べ、奥行き方向の乳腺のつながりが把握しやすく、腫瘍の状態を立体的に見ることが出来るようになりました。
 
この技術により、腫瘍の正確な成長度合いと形状・局在を知ることが出来るのみならず、偽陽性(乳がんでないのに乳がんと診断されること)診断を低減し、かつ読影時間を現状と同等かさらに短くできる効果が期待されています。

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従来のマンモグラフィーでは4回のX線曝射が必要となり、 被曝量は通常0.05~0.15mSVあるいはそれ以下と言われています。富士フイルムによると、この3Dマンモグラフィーは従来の1.3~1.5倍のX線量を必要とするが、腫瘍の早期発見が出来るというメリットのほうが大きいので被曝量は問題無いとされています。値段は、2013年4月に販売された「AMULET Innovality」は1億2,000万円です。
 
2Dマンモグラフィーは独特の、微妙な画像の読影技術を要求されるため、特に訓練を受けた医師でなければ正しく診断することは難しいと言われています。このため、ほぼ各国それぞれに、マンモグラフィーの撮影、診断に関わる技師や医師への専門の教育訓練や、専門医・専門技師の資格制度が用意されている中、この3Dマンモグラフィーはこの問題を解決する事ができ、医師にとっても患者にとっても優しいソリューションになるかもしれません。

Author Profile

松村 一希
松村 一希ライターTwitter:@kazuki24_
慶應義塾大学医学部4年生。NPO法人ジャパンハートにて、クラウドファンディングプロジェクトを成功させ300万円を集めた実績を持つ。ソーシャルグッドを専門に、NPO向けのネットメディアであるテントセンでのライターを務める他、自身の学業である医学とITとの連携に広く興味を持つ。